2017年07月09日

短波による5チャンネルサイマルキャストプロジェクトの総括

日本時間2017年5月26〜28日に実施された、事実上世界初の5チャンネル・サイマルキャスト短波放送について総括する。

このプロジェクトは、2014〜2015年にRCIサックビル送信所の記録映像を制作したカナダの映像アーティスト Amanda Dawn Christie さんが手がけた最新プロジェクト"Requiem for Radio Full Quiet Flutter"(RFQ:FQF)。放送当日、カナダのモンクトンで公開された演奏会場では、サックビル送信所に存在していた鉄塔を模擬した縮小スケールモデルを13本設置。このスケールモデルに、静電容量センサー付きのマイクロフォンを取り付け、3オクターブを発する15メートル幅の楽器として作られた(詳細は不明)。さらに、テルミンを使ってRCI送信所タワーのビデオ画像を操作し、タワーの近くで飼われていた牛の骨、サキソフォン、ボーカルを担当するコーラスで構成されている。

このプロジェクトでは、演奏を5つの音声トラックに分け、異なる放送局の異なる周波数によって、同時送信が実施された。

当日の演奏会場のステージでは、5個の短波受信機(そのうち1台は ICF-6800 であることを、Amandaさんご本人から教えていただいた!)が持ち込まれ、開始時と終了時に、パフォーマンスの一部として、披露された。全世界の短波リスナーは、その他全ての演奏を聴いたことになる。

演奏された楽曲はカナダの演奏家 ルーカス・ピアース 氏がこの日のために書き下ろした作品で、日によって異なるものの、最終的に6か所の放送局へ、異なるトラックが送信された。それぞれのトラックには、コーラスグループの各パートの声が振り分けられ、これらを同時に受信することで、コーラス音声を完璧に聴くことができる仕組み。

実際に放送された周波数と局名、およびコーラスのパートは以下の通り。

2017年5月26日 0800-0900JST
 9620 Moosbrun Austria (ソプラノ)
 11580 WRMI Miami (アルト)
 5130 WBCQ Monticello (テナー#2)
 9690 German Shortwave Service Nauen (ベース)

 この日はテスト送信であったが、テナー#1を担当する6850kHzのPirate Radio Bostonからの放送は、最終日のための資金を節約するために、送信しなかった(Amandaさんご本人のコメントより)。

2017年5月27日 0800-0900JST
 9620 Moosbrun Austria (ソプラノ)
 11580 WRMI Miami (アルト)
 5130 WBCQ Monticello (テナー#2)
 9690 German Shortwave Service Nauen (ベース)

 この日、会場で生演奏が公開されたのだが、テナー#1が送信されなかった。これもまた、最終日に送信するための資金を節約するため、というのが公式のコメント(Amandaさんご本人のコメントより)。ただし、実際には、6820kHzの USB by Radio Free を通じて、1〜2時間遅れて送信されたらしい。なお、私ことラジオの声は、この日の放送のうち3局(9620kHz Moosbrun, 9690kHz Neuen, 11580kHz WRMI)について、リモートSDRを利用して同時受信した結果を、Amandaさんへ報告している。

2017年5月28日 0800-0900JST
 9620 Moosbrun Austria (ソプラノ)
 11580 WRMI Miami (アルト)
 6850 Pirate Radio Boston (テナー#1)
 6820 USB Radio Free Whatever (テナー#1)
 5130 WBCQ Monticello (テナー#2)
 9690 German Shortwave Service Nauen (ベース)

 この日も会場で生演奏が公開された。テナー#1の音声が、2つの放送局から送信されたが、実質的に5つのパートがすべて、短波送信された。テナー#1について、気が付いたリスナーはごく少数とのこと。

なお、この番組が終了後、インターネットやカナダのFM局からも同時送信されたことが報告されている。この5チャンネルのマルチトラック短波放送について、今まで他に例があったのかどうか、Amandaさんがコメントを求めている。

後日、私の受信報告に対して、Amandaさんより特別QSLが届いたので、公開したい。
RFR_FQF_170619.jpg

今回の受信音声の一部を公開する。これは9690kHzにて、放送直前にCRIの受信音声が聞こえ、時報と同時に、この演奏が開始されたところの音声である。モールス符号も利用されている。


また、以下の音声は、コーラス音声の一部の録音である。混信も激しく、受信状態の改善のため、帯域幅を縮小している。


さらに、海外のリスナーさんによって、複数のラジオを利用して受信している様子を示した、秀悦なYouTubeビデオが公開されている。以下の関連記事にて紹介したので、改めて、ご参照願いたい。

【関連記事】
 カナダRCI送信所、新たなパフォーマンス(追記あり) ('17.5.27)

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ラベル:SWL shortwave 北米 RCI
posted by ラジオの声 at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 短波放送 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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