2015年03月07日

B14 [再]USBドングルでSDR受信機(その5)

[注]本稿は2014年9月27日に掲載したものを再編集したものです.
USBチューナーを利用して短波を受信する話。以下の記事の続きです。
http://radio-no-koe.seesaa.net/article/414789923.html
"[再]USBドングルでSDR受信機(その4)"


PERSEUSもどきとして、このチューナーを「短波ラジオ」として利用するには、やはり、短波帯用の外部アンテナが必須です。この前提で、Computer Radio RF Tech (ttrftech)さん&シャフトコーポレーションさんのHFコンバータ(SC-HFCONV-100) を利用することにより、リファレンス用のラジオとしてのSONY ICF-2001Dとほぼ同等か、それ以上の受信性能を得られます。

ところで、今日はSDR#についての受信レビューを掲載しようとしていたのですが、トラブルが発生しました。SDR#(v.1.0.0.1318) を使った後に、HDSDR 2.70 へ乗り換えたところ、SDR#が動かなくなってしまいました(ドライバが認識しなくなりました)。ドライバの入れ替えなど、面倒なことが起こりそうなので、しばらく、HDSDR 2.70 を使うことにしました。

【ソフトウェアHDSDRとデバイスドライバの入手】

そこで、本日はHDSDRについて触れます。そのHDSDRの入手先は以下です。
http://www.hdsdr.de/

インストール手順については、多くのサイトに掲載されていますが、HDSDRが、チューナーを動かすためのドライバとして、USBドングルに内蔵されたデコードIC(RTL2832)向けにチューンされた ExtIO-RTL.dll の入手が必要です。以下のサイトから入手後、HDSDRのインストール・ディレクトリ(C:\ProgramFiles(x86)\HDSDR\) へコピーして下さい。
https://github.com/josemariaaraujo/ExtIO_RTL

【短波受信のための初期設定】

このHDSDRですが、SDR#に比べ、使いこなすにはコツが必要です。

HDSDRを起動してください。起動直後のデフォルトは、VHF/UHF向けの設定なので、短波用としては、使いづらい印象を受けます。HDSDRを、以下のように「短波受信向け」に再調整してみてください。

img_150307_0.png
1)アナログのSメーターの0付近をクリック→スケルチOFF
2)ExtIOをクリックしてSettingsを開く。TunerAGCをOFF→TunerGainを上下
3)Options[F7]→MouseWheel→Step→1kHz


これで、短波ラジオを受信するには、使いやすくなったでしょうか?

【受信】

HDSDRの Start[F2] をクリックして、チューナを起動してください。ただし、HFコンバーターHFCONV-100を利用して受信しているため、100MHz高い周波数で同調(オフセット同調)させることに注意してください。

【100MHzオフセットの調整】('15.10.10加筆)

もし、+100MHzのオフセット同調がどうしても気に入らない場合は、本来受信しようとしている周波数が表示できるように設定することが可能です。Option[F7] → RF Front-End + calibration にて

「RF front-end frequency options & Calibration 」

という画面を表示させてください。この画面の左側にある SDR hardware coupling にて、

・SDR hardware connected to antenna (default)

がデフォルトで有効になっているため、設定変更が必要です。まず、以下を有効にしてください。

・SDR hardware on Dwon/Up-Converter LO Frequency of Down/Up-Converterin Hz:

ここで調整幅をHz単位で入力してください。100MHzは0が8個です。

100000000

設定が終わりましたら、必ず Apply をクリックすることをお忘れなく。Applyをクリックした後は[X]をクリックして閉じて下さい。それ以降、受信させたい周波数にて同調させることが可能になります。

また、このオフセット調整により、HDSDRのFreqMgr(Frequency Manager)にて、Eibiデータベースを読み込んだ時に設定される周波数へ、ダイレクトに同調させることができるようになります。

【LO周波数とTune周波数の違い】

HDSDRにてチューニングをする場合、LO周波数とTune周波数の違いを理解する必要があります。SDR受信機では「ダイレクトコンバージョン」という仕組みで、USBチューナーのハードウェアが受信した電波から、ソフトウェア(HDSDR,SDR#など)を使って復調します。この2つの周波数の違いを理解するには、この仕組みの理解が必要です。

説明には手間がかかるので、諸先輩方のご説明に頼るとして、LO周波数は受信したい周波数よりも「低め」または「高め」のどちらかに設定し、Tune周波数で放送を選ぶ、と考えてください。LO周波数に対して、Tune周波数は-1.4MHzから+1.4MHz程度まで可変できます。ICF-5900のオーナーさんであれば、メインダイヤルとスプレッドダイヤルの関係に似ています。

ただし、LO周波数とTune周波数が近接すると、「イメージ混信」「イメージ受信」と呼ぶ障害が発生します。通常は、あまり神経質になる必要はありませんが、操作しているうちに近接させてしまうことがあります。
「LO周波数でMHz単位で移動し、Tune周波数で放送を探す」という使い方で、問題ありません。

【LO-AとLO-B】

このLO周波数として、LO-AとLO-Bの2つが実装されています。マウスのクリックで切り替え可能です。同時聴取はできませんが、いわゆるデュアルワッチモードが実現できます。A,Bそれぞれに異なる周波数をセットできます。

【スケルチレベルの調整】

スケルチのレベルを変更することも可能です。レベルメーターの任意の位置で、左クリックしてみてください。初めてHDSDRを操作したときに、電波は振れているが、音声がまったく聴こえない時は、スケルチの設定も疑ってみてください。

【周波数の校正】

ところで、いろいろと受信を始めると、期待する周波数と微妙にズレて受信されていることに気が付かれたでしょうか?周波数の校正という作業が必要です。

1)110MHz(10MHz)の標準電波など信用できる放送を受信してください。
2)ExtIOをクリックし、Settingsにて、Frequencyをppmで左右調整します。ハードウェア個体ごとに値が異なります。私の手元のDS-DT305では、約1.3kHzずれていましたので、調整量は -13ppm でした。1ppmは 110MHz に対して 0.11kHz に相当します。

これで校正完了です。

今日も長くなってしまいました。来週からは、海外の短波放送にトライしてみます。本日もお読みいただき、ありがとうございました。

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ラベル:SDR BCL 短波放送
posted by ラジオの声 at 09:45| RTL-SDR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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