2015年03月21日

B14 [再]USBドングルでSDR受信機(その7) DRM受信

[注]本稿は2014年10月11日に掲載したものを再編集したものです.
USBドングルのワンセグチューナーを利用して短波を受信する話。以下の記事の続きです。
http://radio-no-koe.seesaa.net/article/415570685.html
"[再]USBドングルでSDR受信機(その6)"

Computer Radio RF Tech (ttrftech)さん&シャフトコーポレーションさんのHFコンバータ(SC-HFCONV-100) を利用して、短波放送を受信しています。DRM受信にトライしました。

DRMは短波帯のデジタル放送方式として知られています。既存のアナログAM送信機を流用しつつ、高音質な音声や文字伝送を実現するものです。このDRMは「デジタルラジオ・モンディエール」(http://www.drm.org/)の略称です。

日本では、日本独自のデジタルテレビ規格であるISDB方式をベースに、FM/VHF帯ラジオ放送のデジタル化の議論が先行。中波・短波のデジタル化については、ほとんど議論されていないために、DRMが採用される可能性はありません。そのため、日本では、欧米で売られているようなDRM受信機が発売される見込みもありません。

しかしながら、SDR受信機の登場により、FM、AMの受信に必要なハードウェアが共通化され、ラジオの構造もシンプルになりました。DRMは、もともとAMベースのデジタル信号なので、特殊なハードウェアを追加することなく、計算処理方法をソフトウェア的に切り替えるだけで、受信することができます。

今回のUSBドングルのチューナーを操作するHDSDRには、そのDRM放送を受信するための切り替えがあります。ただし、受信した電波からデジタル信号を取り出すところまでしか実装されていないため、実際には、アナログ音声に復調するためのソフトウェアとして、次の2種類が必要です。

(1) オーディオ信号からアナログ音声を取り出すためのソフトウェア

 オープンソースとしてDreamが知られています。ソフトウェアは以下から入手できます。
 Dream DRM Receiver リンク訂正('17.9.11)

 このDreamについては、HFコンバーターの製造元の方よりDream最新版についてのご助言をいただきました。DRM再生のために最新版Dreamをインストールされる際は、DLLファイルの追加取得が必要です。下記サイトの情報もご参照ください。
 http://blog.livedoor.jp/bh5ea20tb/archives/4432855.html
 "RTL-SDR DRM受信 HDSDR+Dream2.1.1の導入、受信方法(qt-mt230nc.dll faad2_drm.dll)"

(2) HDSDRとDreamをオーディオ信号として接続するためのソフトウェア

 DreamとHDSDRを「オーディオ信号」として、つながなければなりません。Windows系のパソコンでは、PC内部で生成された音声信号を「外部音声入力端子」のように入力する仕組みが標準実装されていません。これを実現するために Virtual Audio Cable(VAC)という仕組みが知られ、いくつかのソフトウェアが出回っています。

 日本国内では、ヤマハさんが開発した「NETDUETTOβ」と呼ばれるソフトウェアの中に、VACが実装されており、それを使われている方が多いようです。個人が所有するPCのみで利用し、かつ、これを使った商売をすることがなければ、無料で利用することができます。以下のサイトにて、必ず「使用許諾条件」に同意してから入手の上、インストールしてください。
http://netduetto.net/download/

以下、DRMを受信するための手順です。

まず前述の(1)(2)のインストールを完了させてください。

HDSDRを起動し、SoundCard[F5] をクリックすると、以下のような画面が現れます。ここで、RXoutput(to Speaker)を「ライン [Yamaha NETDUETTO Driver]」へ切り替えてください。
hdsdr_drm_141011_0.png

続いて、Dreamを起動し、メニューのSettingsからSoundInを「Yamaha NETDUETTO Driver」へ切り替えてください。
hdsdr_drm_141011_1.png

ここまできたら、HDSDRへ戻り、DRMの電波を探してください。

ただ、残念なのは、日本国内でもっとも良好に受信できたKTWRのDRMによる日本語放送が、2014/9/28をもって終了してしまいました。

KTWRによるDRMが消えると、アジア周辺では、Radio Australia, Radio NewZealand International, All India RadioなどのDRM放送を狙うことになりますが、入力が弱いと、復調は難しくなります。(Radio Australiaは、2015/1/31を最後に、DRMを実施していたBrandon送信所を廃止した。)

以下は、2014/9/28のKTWR日本語放送のDRM最終日に受信した時の画面です。DRM放送を受信するためには、HDSDR画面中央にある「DRM」ボタンへ切り替えることと、受信スペクトラムが納まるように、公表された周波数から、約6kHz程度ずらして受信するのがコツです。12120kHzに対して、実際には12114kHzで受信していることがおわかりいただけると思います。
hdsdr_drm_141011_2.png

・・・ただ・・・残念なことに、この日は電波が弱く、Dreamの画面に「TWR-GUAM」というStationIDまでは表示されたものの、音声を再生することができませんでした。

しっかりしたアンテナをお持ちの諸先輩方は、音声の取り出しまで、成功されたようなので、うらやましい限りです。

DRMの欠点は、このようなところに現れます。電波強度が必要なことと、スペクトルが示す通り「12kHz幅」をまるまる占有します。アナログで5kHz毎に電波が近接する中で、周波数の効率利用という意味では「?」です。

さて、南太平洋ではサイクロンの季節を迎えました。日本には台風があります。携帯電話やインターネットが使えない場所では、天気図の入手は重要です。日本近海では、短波帯にて気象FAXが送信されています。次回、その受信も試します。それではまた来週。

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ラベル:BCL 短波放送 SDR
posted by ラジオの声 at 21:36| RTL-SDR | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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