終戦前後の放送資料については、その多くが個人や古書などのコレクションに頼っており、公式に記録されたものは、玉音放送の録音など特別なものを除けば、数多くありません。その一方で、米国側の記録については、国立公文書館に残されています。
玉音放送の3〜4時間前に Voice of America が英語にて、日本が降伏する主旨の放送をした事実とその録音は知られていましたが、その直後に送信された日本語の録音については、筆者も聞いたことがありませんでした。
15日に放送されたものは、国立公文書館に保管されていたVOA (Voice of America) により日本語で送信された音源そのもので、玉音放送が日本国内で放送される前に、日本に向けて送信されたものです。おそらく、日本語の音源が公開されたのは、日本でも初めてなのではないでしょうか・・・
ラジコ・フリー/ラジコ・プレミアムにて 8/21までに聴取可能です。ご興味ある方は、お早めに。
戦後75年スペシャル アーサー・ビナード 玉音放送を探して | 文化放送 | 2020/08/15/土 11:00-13:00
00:54:10 玉音放送直前にアナウンサーとしてNHKへ召集された故近藤冨枝さんの証言
(2015年の特番で放送されたもの)
00:59:30 玉音放送の再現
01:19:30 玉音放送を現代語訳で再現
01:30:00 玉音放送は海外へどのように伝えられたのか?(VOAの録音を含む)
また、この番組に続き、当日は、もう一つ、放送されました。
こちらもラジコ・フリー/ラジコ・プレミアムにて 8/21 まで聴取可能です。こちらの方がBCL各位には、注目を集めたかもしれませんが、聴取はお早めに。
この番組では、サイパン陥落後、中波を使って(米国による)ラジオ放送が実施されれば脅威になることを恐れた日本が、NHKの送信設備を利用してジャミングを放送したこと(適性放送防圧)をメインテーマとして取り上げています。また、中国が出すジャミングの例も紹介されています。
また、山田先生のBCLマニュアルにも記載のあるザカライアス放送についても、取り上げられています。ザカライアスが軍上層部を説得し、日本への降伏を迫る番組を短波で放送したものの、日本からの反応がなかったために、ザカライアスが最後に放送したその2日後に広島に原爆が落とされた事実を知っておくべきでしょう。
戦後75年スペシャル 封印された真実〜軍属ラジオ | 文化放送 | 2020/08/15/土 18:00-18:57
00:07:00 レディオ・トウキョウ「ゼロ・アワー」
00:13:20 Voice of America 日本語放送、ザカライアス放送の再現
00:23:00 サイパン島の陥落と日本向け中波放送
00:27:00 ジャミングについて
00:33:00 隠蔽放送所と防圧放送
00:44:00 米国からのブラックラジオ(*1)「新国民放送局」日本語放送の再現とオオイシトシオ氏による報告(その原稿は米国の国立公文書館に保存されていたもの)
(*1) ブラックラジオの定義は、送信先の国で放送されていることを偽装するもので、今でいう地下放送局
ザカライアスは退役後、その専門性を生かし、スパイを扱うテレビシリーズのホスト兼監修役となり、テレビに出演しました
以下にザカライアスを取り上げた記事を紹介します。
[Huffpost] 戦後70年 日米和平に尽力した、あるラジオ放送の真実。 ('15.08.14)
[BS朝日] 和平交渉にも使われたラジオ ('13.12.30)
[ETV特集] 戦争とラジオ第2回日米電波戦争〜国際放送は何を伝えのか〜 ('09.08.23)
【関連記事】
70年前の8月6日、広島、ラジオ放送を再開するまでの25時間 ('15.08.08)
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